本講演Ⅰ
宮崎緑様「グローバル人材を育てる」
大会2日目の最初のプログラムとして、宮崎緑さんの本講演が開催されました。
宮崎さんご自身も附属の出身で、弟、子供も附属とのことで、「ふぞく」の響きは私の原風景ですとの話から講演が始まりました。今年は特に、「元号に関する懇談会」のメンバーに選ばれ、新元号「令和」の選出に関与され、ネットで「卑弥呼」と呼ばれているというエピソードも披露いただきました。
「令和」は、初めてその典拠を日本の古典の万葉集とした元号で、元号を用いるのは世界で日本だけだそうです。万葉集で詠まれた花は梅が多く、遣隋使が伝えた香り立つ梅は珍重されていたからです。遣唐使を廃止して日本独自の文化が発展するのですが、古来より大切な存在であった桜に注目が集まり、古今和歌集で紀友則が「久方の ひかりのどけき春の日に しづ心なく 花の散るらむ」と詠み、花といえば梅から桜に戻ったことがうかがえます。
ハーバマスは、文化とは智のストックであるといい、ドーキンスは、文化的遺伝子を「ミーム」といいました。不易流行なものは普遍であり、「アイデンティティ」であります。花といえば桜も日本のアイデンティティなのです。
世界に目を向けると、アメリカがメキシコ国境に壁を作る政策を進めています。元々アメリカは英語を話す白人の国であったのが、2050年ごろには白人が国民の50%を切るそうです。これは国家としての「アイデンティティ クライシス」と呼ばれ、アイデンティティを守るために国家が政策を進めるのだそうです。「ヘイトクライム」につながりかねないアイデンティティの違いを国家同士で認めることはとても大切になっているそうです。
求められるグローバルな人材とは、自他のアイデンティティを理解する、コミュニケーションスキルを活かし情報を集める、そして自ら問題を発見し、解決する能力をもつ人材です。そのベースが初等教育にあり、リテラシーを身につけることが大切なのです。そのためには、まずは自分を、日本を知り、そして相手を、世界を知る。まさに敵を知り己を知れば、です。
教育は1人1人が持っている才能をみつけ、伸ばすことが大切で、「靴に合わせるのではなく、合う靴をみつける」ことをこれからの教育に期待し、自身も実践していきたいと抱負をお話しいただきました。
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