〇5月18日、岡山プラザホテルにて
〇講師:村中 由紀子さん(山陽学園短期大学名誉教授)
〇演題「子どもの将来を見越した子育て」~幸せ感に根差した自尊感情を育むには~
「私たち親は、子どもたちを大人(=自分で自分の心も体も養える)にしなければなりません」という言葉から始まった村中先生の講演は、ご自身の育児経験や関わってこられた親子の話を笑いあり涙ありで語られ、一時間半がとても短く感じるほど興味深く示唆に富んだものでした。
先生いわく、近代になり核家族化を求めた結果、個人としては自由になったが、子の心をほぼ母親の思考だけで育てるという、大変な試練を伴うもの=孤独な子育てになったとのことです。子を無条件で愛し褒めてくれる祖父母や自分の感情を制御してくれる他人の目(ご近所さん等)は煩わしい面もありますが、親にとっても子にとっても大きな役割を果たしていたそうです。
また、先生は私たちに「条件付きの愛を子どもに与えていませんか?」と何度も問われていました。良い成績を取ったら、親のいうことをよく聞いたら、〇〇ちゃんに勝ったら・・・。耳が痛いです。生まれてきてくれた、ただそれだけでありがとうという気持ちがなくなった訳ではないけれど、成長するにつれ、子どものためと様々な条件をつけていく私たち親。そんな条件付きの愛は、子どもを一番傷つける態度であり、親に認められない私は悪い子なんだと、自分で自分を傷つける最悪の未来へつながる危険が潜んでいるのですよと仰っていました。何が出来ても出来なくても、無条件に受け入れ、必要としてくれる。それが、子どもの幸福感を支え自尊感情を育むのだと。
例えば、子どもがピンチの時、親は懐の深さを試されているそうです。親がどんな言葉をかけ、どんな態度をとり、自分に何をしてくれたかをよく見ていて、ここで『自分を大切に思える=自分を信じる力』が育つとのことです。0か100かではない調整を親が子どものためにどう出来るかが重要で、ここは頑張って欲しいと仰っていました。
子育てに万能な答えはありません。けれど考え過ぎるあまり、ついつい正解を求めてしまう私たちに、先生は「子どもって、かわいいけぇ」ただそれだけでいいんだと、伝えてくれたように感じました。
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